「額面株式」「無額面株式」をわかりやすく解説。商法改正で統一?

「額面株式」とは株券に金額が表示してあるもの、「無額面株式」とは株券に株数だけの記載で金額が表示してないものを言います。

とは説明したものの、今は株券が電子化されていて実際に目にすることはないのでわからないという人が多いでしょう。

⇒【株券の保管方法について解説
⇒【「みなし額面」をわかりやすく解説

「額面株式」「無額面株式」の歴史や違い 

2001年10月1日に商法が改正される以前は、株式会社は「額面株式」「無額面株式」のどちらでも自由に発行することができました。

特にどちらで発行しても権利自体には変わりませんが、金額が記載してあった方がわかりやすいという理由から以前は「額面株式」を発行する会社が多かったですが、実態の株価と大きくかけ離れていることも多く、徐々に「無額面株式」を発行する会社が増えていきました。

「額面株式」には20円、50円、500円、50,000円の4種類があり、額面が50円の株式であれば投資家は1株50円で購入することができました。

株式投資をやっている人にとっては日々株価が変動するのが当たり前のため、決まった金額で株式を発行するということに違和感を覚えるかもしれませんが、株式が上場していない段階では、金額を決めて株式を発行します。

「無額面株式」を発行する場合には、金額は50,000円を下回ってはいけないとされており、金額によって「額面株式」と差別化をしていた形でした。

⇒【株価について解説
⇒【株式投資に必要な資金について解説

商法改正で「額面株式」は廃止、「無額面株式」へ統一 

商法が2001年10月1日に改正されると「額面株式」は廃止され、株式会社は「無額面株式」しか発行することができなくなりました。

これ以前の「無額面株式」の発行価格は50,000円を下回ってはならないとう規制がありましたが、「額面株式」の廃止によって金額の制限も無くなっています。

発行済みである「額面株式」は回収した上で「無額面株式」として再発行することができましたが、回収や手続きの手間やコストを考えてやらない会社が多く、「額面株式」廃止後も市場には流通していました。

⇒【株価変動の要因を解説
⇒【株式市場の詳細を解説

「株券電子化」で株式を目にする機会が無くなった 

2009年1月5日から「株券電子化」が実施されると、投資家は株券を手元で保管する必要がなくなったため、「額面株式」「無額面株式」を意識することはなくなりました。

「額面株式」「無額面株式」を知らなくても株式投資を行う上では支障はありませんので、以前はこういうものがあったのだと認識しておく程度で十分だと思います。

ただ日経平均株価などの株価指数を算出する際には、「株面株式」の金額によって株価は大きく変わってくる場合が多いので、銘柄ごとに「みなし額面」を決めて株価を調整しています。

「みなし額面」については今も使われている用語であるので、覚えておいても良いかもしれません。

⇒【日経平均株価の詳細を解説
⇒【単純平均株価方式と時価総額加重方式

まとめ 

「株券電子化」によって株券を実際に見る機会が無くなってしまったので、「額面株式」も「無額面株式」も今後目にすることはないと思いますが、過去にはルールに従って2種類の株式が発行されていました。

今は「無額面株式」に統一されていますが、日経平均株価などの株価指数計算には「みなし額面」を使っており、昔の「額面株式」の考え方が残っています。

詳細までは覚えておく必要はありませんが、過去の出来事として最低限理解しておくと良いでしょう。

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