日本製紙、工場停止で生産縮小へ。2019年3月期決算や株価への影響は?200億円の特別損失計上で赤字へ。

3863 日本製紙は2018年5月28日に3工場の稼働停止を発表し、同時に2019年3月期決算見通しを公表しました。

ここでは工場稼働停止の詳細、株価・業績への影響をみていきたいと思います。

日本製紙、3工場停止で生産縮小へ。その時期や能力などの詳細や理由とは?業界全体の動向とは?再編進まず設備過剰の状況。 

日本製紙は北海道工場勇払事業所、釧路工場、富士工場の3ヵ所において工場設備の停止を行うと発表しました。

時期は2019年3月~2020年1月で行う予定です。

今回停止を行う3工場の生産能力は年間53.1万トン、2018年5月に停止を行った秋田工場と石巻工場を合わせると年間76万トンと、日本製紙全体の生産能力の18%に相当します。

生産停止の理由は、デジタル化の流れの中で紙需要が急速に減少していることが挙げられます。

業界全体でみると、2017年の生産量は約1,460万トンに対して、生産能力は約1,700万トンと生産設備過剰の状況です。

紙需要が急速に減少する中で、業界再編も進まず、生産設備の縮小が追いついておらず、厳しい環境となっています。

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日本製紙の2019年3月決算見通しとは?工場停止に伴う特別損失200億円計上で、赤字へ転落。 

日本製紙が発表した2019年3月期決算見通しは、売上高が前期比+3.2%の1兆800億円、経常利益は+34.1%の250億円、当期純利益は▲180億円でした。

工場停止に伴う200億円の特別損失計上で、今期は赤字転落となります。

今後工場停止により約110億円の収益改善効果が見込めるとも発表しています。

尚、停止する工場に関わる従業員約350名は配置転換を行い、リストラは行わない方針です。

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日本製紙、3工場生産停止、赤字転落による株価への影響は? 

3工場生産停止と2019年3月期決算見通し発表は2018年5月28日引け後でしたが、新規材料に対する期待から当日の株価は前日比+75円の2,062円で引けました。

しかしながら2019年3月期が赤字転落が伝わり、本日5月29日9時30分頃の株価は前日比▲107円(▲5.2%)の1,954円と前日の上昇をかき消す価格で取引されています。

以下は日本製紙の日足チャートです。

株価は2017年11月8日高値2,366円から下降トレンドを形成しており、2018年3月29日安値1,935円を下抜けると下落が加速する可能性があります。

テクニカルには、全ての移動平均線が下向きであり、今後25日移動平均線(緑色)と75日移動平均線(水色)がデッドクロスを完成すると、売り圧力が増す可能性があります。

現時点では下落方向に向かう可能性が高そうです。

株価が25日移動平均線や75日移動平均線が位置する2,050円近辺を上抜けて安定してくると、上昇が期待できると思います。

⇒【移動平均線の詳細を解説

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まとめ 

日本製紙の工場停止発表によって、改めて製紙業界の厳しい現状を確認することができました。

今後は需要が高まる段ボールや子供向けおむつなど、成長が期待できる分野をどう伸ばしていけるかがポイントになると思います。

設備過剰の状況下、競合他社の動向にも注目していきたいと思います。

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