超低金利が継続する中、企業の戦略に大きな違いがみられます。
超低金利を活かして積極的に借入を行い投資する企業もいれば、返済が必要な有利子負債を圧縮する企業もあります。
ここでは有利子負債の詳細や増加額ランキングをみていきましょう。
⇒【損益計算書の見方を解説】
⇒【貸借対照表の見方を解説】
目次
有利子負債、有利子負債比率とは?その算出方法や目安とは?
有利子負債とは、銀行からの借入や社債など、金利が発生する借金のことを言います。
貸借対照表では、右側上段に記載される項目です。
有利子負債は一般的に少ないほうが企業の健全性は高いですが、企業の成長には将来に向けた投資が必要になりますので、企業のステージや業種によって金額は大きく異なります。
そのため有利子負債の金額から企業の健全性を比較することはできません。
有利子負債が多くても、それを上回る業績を上げていれば投資としては成功していることになります。
有利子負債を表す指標に、有利子負債比率というものがあり、自己資本に対する有利子負債の比率を表しています。
以下の計算式で算出が可能です。
有利子負債比率(%) = 有利子負債 ÷ 自己資本 X 100
一般的には数値が低いほど健全と見做されます。
有利子負債増加額ラインキング。ソフトバンク、JR東海、アサヒが積極投資により上位。
有利子負債の増加額は一般的に投資に対する積極性を表しています。
それでは2017年度末時点の有利子負債増加額上位10社をみてみましょう。
1位はソフトバンクで2016年度末対比約2.2兆円増加し、残高は16兆円を超えました。
ソフトバンクは最近ではウーバーへの出資など積極的に投資を行っていますので、納得の結果です。
2位のJR東海はリニア中央新幹線の建設費用約3兆円が影響してランクインしています。
3位のアサヒはアンハイザー・ブッシュ・インベブの買収で有利子負債が増加していますが、2019年12月期末までに約2,600億円削減すると発表しています。
昨年は積極的な投資を行いましたが、一旦は有利子負債を1兆円以下までに圧縮して財務体質を改善させ、将来的な投資に備える方針です。
5位の三井不動産はミッドタウン日比谷の開業に加えて、金利が安いうちに優良な土地や物件を仕入れて、開発を行う方針です。
有利子負債残高が1番多いのは8位にランクインしたトヨタ自動車で約19兆円となります。
製造業は工場などの設備投資が必要になりますので、有利子負債は多くなる傾向があります。
有利子負債増加額が大きい会社の時価総額やPERは?その傾向や特徴は?
有利子負債増加額が大きい企業の時価総額やPERについてもみていきましょう。
まず時価総額をみると、日本1位のトヨタをはじめとして10社中8社が1兆円を超える企業と大手有名企業がランクインしています。
有利子負債の増加による積極投資が市場に評価されており、企業の健全性に対する懸念はそこまで大きくないことが読み取れます。
次にPERについてみていきましょう。
時価総額が大きい企業ばかりですので、ステージとては成熟して安定期に入っているので、PERとしては高くありません。
PERから見ると有利子負債額が多いのはややマイナスに捉えられているのかもしれません。
⇒【PERの詳細を解説】
まとめ
有利子負債のランキングをみると、積極的に投資しているイメージの会社がランクインしていたと思います。
現在の低金利を最大限に享受して将来に向けた投資を行うのか、企業の選択は分かれています。
積極投資を行った企業が正解だったのか、答え合わせは数年後になりますので、注目していきましょう。
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