TATERU(タテル)が倒産(潰れる)する可能性を分析。預金残高改ざん・水増し、見せ金無利息融資など不正行為の影響。

東証一部上場で不動産販売を行うTATERU、顧客の預金残高を改ざん・水増ししたり、見せ金を無利息で融資して、銀行から多額の融資を引き出していたことが問題となっています。

どのくらいの案件で不正行為が行われていたかは、現在特別調査委員会が調査を進めており、11月頃には調査結果が発表される見込みとなっています。

そんな中、不動産投資サイトを運営する「楽待」が2018年9月11日、TATERUが創業当初から不正行為を行っていたとレポートしています。

「楽待」のレポート内容が真実なのであれば、TATERUの業績に与える影響は大きく、上場廃止や最悪のケースでは倒産という可能性もあるかもしれません。

ここではTATERU倒産の可能性についてみていきたいと思います。

⇒【上場企業のTATERUが不正融資に関与
⇒【シノケン、週刊新潮不正報道の影響は?

TATERUの財務状況、自己資本比率が高い 

ではTATERUの財務状況からみていきましょう。

2018年6月時末点でのTATERUの純資産は239億3,600万円となっています。

総資産が353億200万円なので、自己資本比率は67.8%とかなり高い水準です。

引用:TATERUホームページ

同時期の同業他社であるシノケングループの純資産は302億9,300万円、総資産が957億5,000万円で、自己資本比率は31.4%ですので、TATERUの自己資本比率がいかに高いかがわかります。

ただ細かく見てみるとTATERUの総資産は2018年3月末から6月末にかけて+147億円(206億円⇒353億円)、純資産は+142億円(97億円⇒239億円)と大幅に増加しております。

TATERUは132億円の海外募集による新株発行を行っており、総資産・純資産の増加のほとんどが、これに該当します。

引用:TATERU2018年12月期 第二四半期 決算説明資料

ちなみにこの時に投資した人の簿価は1,864円、2019年1月15日時点の株価が320円であるため約83%の下落となっています。

⇒【貸借対照表の見方を解説

TATERUのキャッシュフロー及び現金 

次にキャッシュフロー及び現金についてみていきましょう。

引用:TATERUホームページ

2018年6月末時点の現金及び現金同等物の残高は188億7,500万円と、総資産に対して53.1%が現金と高い比率となっています。

しかしながらキャッシュフローの内訳をみると、営業活動によるキャッシュフローが▲20億800万円、投資活動によるキャッシュフローが▲3億7,600万円、財務活動によるキャッシュフローが+113億7,100万円となっています。

これはどういう状況かというと、本業(アパートの販売など)の活動と投資活動(土地の仕入れや新規事業)によるキャッシュフローがマイナスで、そのマイナスを銀行借入でカバーしているという、あまり好ましくない状況です。

今回は新株発行のため、銀行借入と違って金利の支払いはありませんが、今後も営業キャッシュフローのマイナスが続いていけば、自己資本比率と現金比率は高いものの、現金が回らずに会社が傾く可能性があります。

⇒【キャッシュフロー計算書の見方を解説

TATERU、GA technologies株売却で200億円に上の現金を保有? 

TATERUは9月10日に保有するGA technologies株式をSBI証券に売却し、約23億円の有価証券売却益を計上したこと発表しました。

TATERUの保有割合は7.88%だったので335,000株、市場外での販売のためかなりディスカウントしている可能性はありますが、9月11日の終値7,200円(前日比▲9.8%)で計算すると、24億1,200万円となり、売却金額がほぼそのまま利益となっています。

TATERUはかなり初期のころにGA technologiesに出資していたのでしょう。

TATERUは株の売却によって23億円の現金増加、2018年6月末時点の188億円から大幅に減少していない限りは、現時点で200億円以上の現金を保有していることになります。

⇒【TATERU、株式売却で特別利益23億円計上

TATERUのアパート契約件数、手付金解除や放棄による影響は? 

TATERUが2018年1月~6月末に契約したアパートは509件(254+255で1日当たり3件以上)となっています。

引用:TATERU2018年12月期 第二四半期 決算説明資料

2018年第二四半期累計の売上高が373億5,200万円であるため、やや乱暴ですがそのすべてがアパートの売り上げと仮定すると、1契約当たりの売上高は約7,300万円となっています。

このうちのどれだけのアパートが引き渡し完了していないのかわかりませんが、TATERUの現金は200億円以上あります。

もし手付金倍加返しで契約解除となったとしても、おそらく契約者は大した手付金を入れていないと思われるため、1契約あたり50万円~100万円程度で、TATERUの現金残高から考えると影響は軽微でしょう。

ただ仕入れた土地については売主が契約解除により他への転売や、買主に対して手付金放棄で契約を解除した場合のインパクトが大きそうです。

アパートの平均価格7,300万円のうち、土地代が4,000万円で手付金が10%とすると400万円。

これがもし200件あれば80億円になります。

200億円の現金があれば倒産まではいかない気はするものの、GA technologies株を急いで売却したという事情を考えると、かなり深刻な可能性はあるかもしれません。

⇒【西京銀行とTATERUの関係性とは?

TATERUの2018年12月期決算見通し、株価の動きは? 

TATERUの2018年12月の決算見通しは、売上高が766億円、経常利益が70億円、当期純利益は48億円となっています。

今回の報道をきっかけとした影響によって、赤字かする可能性はあるかもしれません。

TATERUの株価は引き続き年初来安値を更新しています。

2019年1月15日の株価は、前日比+20円(+6.8%)の320円で取引を終了しました。

今回の報道の影響が読めず、どこまで下がるかわからない状況が続きそうです。

⇒【TATERU2日連続ストップ安、どこまで下落?

TATERUの株価の値動き【2019年1月15日追記】 

TATERUの2019年1月15日の株価は、前日比+20円(+6.8%)の320円で取引を終了しました。

1月4日に288円の安値を付けた後、反発はしていますが引き続き安値圏での推移が続いています。

株価は10日移動平均線(ピンク色)付近での推移となっており、ここを上抜けできるのか、それともこのままレジスタンスとなって再度年初来安値を目指すのかがポイントとなります。

まとめ 

TATERUの倒産の可能性についてみてきましたが、200億円以上の現金を保有していれば、今期決算が赤字化することはあっても、すぐに倒産という可能性はなさそうな気がします。

しかしながら、そのような状況でもGA technologies株を売却したというのは気がかりです。

2018年6月末から現金が大幅に減っていて現金があまりないのであれば、危ないかもしれません。

今後もTATERUの動向に注目していきたいと思います。

<こんな記事も読まれています>

⇒【シノケン、週刊新潮不正報道の影響は?
⇒【TATERU、株式売却で特別利益23億円計上
⇒【「かぼちゃの馬車」問題を解説
⇒【元FC東京・平山選手「かぼちゃの馬車」被害に
⇒【西京銀行とTATERUの関係性とは?
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⇒【大損しないために注意すること

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