日本経済新聞は2018年11月7日、スルガ銀行の2019年3月期上半期決算は900億円程度の赤字になると報道しました。
スルガ銀行が発表している従来予想では120億円の黒字であるため、1,000億円程度の下方修正となり、通期でも800億円程度の赤字となる見込みです。
2018年6月末時点のスルガ銀行の自己資本は3,200億円であり、1,000億円規模の損失を計上しても、債務超過にはなりません。
ここではスルガ銀行の決算の詳細についてみていきたいと思います。
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目次
スルガ銀行のシェアハウス向け融資残高と貸倒損失計上
スマートデイズが運営する女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」向けを中心とし、スルガ銀行は2018年3月末時点でシェアハウスに2,035億円の融資を実行していました。
シェアハウス関連融資の延滞率は30%以上となっており、今回の下方修正ではシェアハウス向け融資を中心に貸倒損失を計上した形となっています。
スルガ銀行のシェアハウス以外の不動産融資延滞率
一方でシェアハウス向け以外の不動産関連融資では、同様に書類の改ざんが行われていたもの、延滞率は1%未満と問題となっている案件は少ないです。
順調に運営ができている案件も多いため、シェアハウス以外の不動産関連融資では貸倒損失は計上しない見込みとなっています。
スルガ銀行、岡野創業家向け融資でも貸倒損失計上へ
スルガ銀行は2018年3月末時点で488億円あった創業家向けの融資でも貸倒損失を計上する見込みとなっています。
既に創業家で長年トップを務めた岡野前会長は退任していますが、回収が難しい債権が多いと見られています。
スルガ銀行は岡野前会長を含む旧経営陣を、多額の損失を与えたとして提訴する方針を固めています。
スルガ銀行の決算発表日
スルガ銀行の2019年3月期上半期決算は11月14日に公表される予定となっています。
公表済みの通期見通しは、当期純利益が250億円となっており、どこまで下方修正されるのか注目が集まります。
2018年6月末時点のスルガ銀行の自己資本は3,200億円であり、1,000億円規模の損失を計上しても、国内の銀行が必要な自己資本比率の2倍の水準は維持できる見込みです。
スルガ銀行、シェアハウス以外の不動産融資で追加損失計上の可能性は?
スルガ銀行はシェアハウスを除くその他の不動産向け融資では、返済に問題がなく貸倒損失を計上しない見込みとなっていますが、書類が改ざんされていたという事実はあるため、返済が順調であるから問題ないと判断して良いのか疑問が残ります。
また今は返済が問題なくても、今後返済が滞る可能性は0ではなく、追加での貸倒損失計上する可能性は否定できません。
スルガ銀行の株価の値動き。年初来安値を更新。
スルガ銀行の株価は9月14日に478円の安値を付けた後、上昇に転じて10月3日には678円の高値を付けています。
しかしながらその後は再度下落に転じ、10月26日に年初来安値となる476円を付けました。
現在スルガ銀行の株価は500円台にのせて推移していますが、赤字決算で再度安値を試すのか注目です。
テクニカルではちょうど10日移動平均線(ピンク色)のあたりに位置しており、また心理的抵抗となる500円で反発できるか注目です。
まとめ
スルガ銀行は11月14日に2019年3月期上半期決算を発表する予定となっていますが、日経新聞は900億円程度の赤字になる見通しであると報道しました。
赤字転落の要因はシェアハウス向け融資と創業家向け融資の貸倒引当金の計上。
その他の不動産向け融資は返済が順調であるため、損失を計上しない見込みとなっています。
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