アーンアウトという言葉を聞いたことあるでしょうか?
日本ではあまり使われないのですが、欧米では企業のM&Aの際にこのアーンアウトが盛り込まれることがよくあります。
最近ではマネックスが仮想通貨取引所コインチェックを買収した際にもアーンアウト条件がありました。
ここではアーンアウトについて見ていきたいと思います。
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アーンアウトとは?買収価格に合意できない際に企業買収を促進させる手法。
アーンアウトとは、企業買収(M&A)契約にて合意した買収価格とは別に、一定の条件を満たせば買主が売主に追加での金銭の支払いを行う契約のことです。
企業買収の価格は、企業の将来の収益や純資産などをベースに算出されますが、買主はできるだけ安く買おうとし、売主はできるだけ高く売ろうとし、合意に至らないケースも多いです。
その際にはアーンアウト条項を追加して、1年から3年程度の一定期間の実績に応じて買収価格を積み増すことが可能となり、お互いの買収価格の差を埋めて企業買収を促進します。
買主にとっては実態を確認してからの支払いとなるため、買収時の金額は安く抑えられるメリットがあります。
このアーンアウトは非上場会社の買収において採用されることが多く、上場会社の買収において採用されることはほぼありません。
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マネックスがコインチェック完全子会社化の際のアーンアウト条項とは?
アーンアウトは欧米では一般的で特に最近は積極的に採用されることが多いですが、日本ではあまり採用されていません。
しかしながら、マネックスが仮想通貨取引所のコインチェックを買収した際にはこのアーンアウト条項が盛り込まれています。
今回マネックスはコインチェック株主から36億円で全株式を取得し完全子会社しますが、今後3年間のコインチェックの純利益の半額から訴訟費用などを差し引いたものが追加でマネックスからコインチェックに支払われるアーンアウト条項があります。
仮想通貨業界は2017年に急成長を遂げ、コインチェックの手数料収入も大幅に上昇したことから、買収価格の算定が難しく、アーンアウトが採用されたのだと思われます。
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まとめ
アーンアウトはあまり聞きなれない言葉で難しいイメージを持たれていると思いますが、理解していただけたでしょうか?
未上場の企業買収の場合には、企業が成長段階にあることが多く、将来の収益性を予想するのは簡単ではなく、買い手と売り手の間の買収価格に開きがあるケースには、アーンアウト条項は良い解決方法の1つになります。
日本ではまだ一般的ではないですが、今後の企業買収では増えていくのではないでしょうか?
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