スルガ銀行のシェアハウス「かぼちゃの馬車」向け不正融資、TATERUの顧客資料改ざんなど、不動産投資における上場企業の不正行為が次々と明らかになっています。
そんな中、東証マザーズ上場で新築一棟マンションをでかけるフェイスネットワークが、自主的に不正融資がなかったかを調査し、ビジネスモデルとともに発表しました。
ここではフェイスネットワークの融資状況調査とビジネスモデル、業績、株価の動きについてみていきたいと思います。
目次
フェイスネットワーク融資状況を自主調査
TATERUの不正行為報道を受けて、同業のフェイスネットワークにも問い合わせが殺到。
そのため自主的に社内調査を実施し、その結果を2018年9月12日に公表しました。
フェイスネットワークが東証マザーズに上場した2018年3月から8月末までの契約を調査したところ、融資を紹介した全ての顧客が自己資金を入れており、営業担当者の不正行為がなかったことを確認しています。
フェイスネットワークが紹介できる銀行は約20行ありますが、そのうち実態使用した金融機関は4行のみで、フェイスネットワークが関与したのは全体の契約の50%。
残りの50%は投資家自ら付き合いのある金融機関から融資をひっぱってきたということになります。
TATERUの問題を受けて自主的に調査し、また不正行為を行っていなかったフェイスネットワークの対応は素晴らしいと思います。
先に不正行為がないことを発表したシノケングループよりも、具体性のある調査内容であり、信頼度は高いです。
フェイスネットワークのビジネスモデル
フェイスネットワークは融資状況の調査とともに、ビジネスモデルについても説明しています。
フェイスネットワークは、「GranDuo(グランデュオ)」というマンションシリーズを販売。
エリアとしては「世田谷区」「目黒区」「渋谷区」から構成される「城南3区」を中心に建設しており、資産家をターゲットとしたマンション販売を行っています。
「GranDuo」はRC(鉄筋コンクリート造り)であり、平均販売単価は約4億円と高額。
入居率も2018年3月末時点で98.1%と、高い入居率を維持しています。
「GranDuo」の平均販売価格が4億円であることを考えると、普通のサラリーマンが手を出せる価格帯ではありません。
また、立地も一等地が中心となっていることから、自己資金なしのフルローンやオーバーローンではキャッシュフローが回らないと思われ、顧客の資産を改ざん・水増しして販売できる商品ではなさそうです。
その意味ではTATERUや「かぼちゃの馬車」スマートデイズが対象としていた客層とは異なり、またスルガ銀行のような高金利を使うような客層ではありません。
フェイスネットワークの決算・業績、時価総額
フェイスネットワークの2019年3月期決算見込みは、売上高が前期比₊29.1%の180億円、経常利益が前期比+43.4%の15億円、当期純利益が前期比+55.4%の11億円となっています。
フェイスネットワークの時価総額は2018年9月11日時点で64億円、TATERUは364億円、シノケンは413億円と、TATERUやシノケンと比較すると会社の規模は小さいですが、会社は発展段階で高い成長率となっています。
フェイス根とワークが8月10日に発表した2019年3月期第一四半期決算は、売上高が12億円、経常利益が▲1億円、四半期純損失が▲9,300万円と赤字となっており、スルガ銀行やTATERUの問題の影響を受けると、通期見通しの達成は厳しくなってくるかもしれません。
フェイスネットワーク上場来安値・年初来安値を更新
フェイスネットワークの2018年9月12日14時半ごろの株価は、前日比52円(+4.0%)の1,345円と、融資状況の調査結果が好感されています。
以下はフェイスネットワークの日足チャートです。
2019年第一四半期決算が赤字となったことを受けて、株価は下落していましたが、TATERUの不正行為報道があった後にも下落は続き、9月12日の前場には上場来安値となる1,252円を付けました。
自主的に融資状況を公表したことによって一旦は下値を付けた形ですが、下降トレンドとなっており、下値を維持できるかがポイントとなります。
業績は苦戦しており、今後不動産市場全体が低迷してくるとなると、ここから株価が大きく上昇していくには、時間を要するかもしれません。
まとめ
フェイスネットワークは自主的に融資状況を調査し、公表したことが好感を受けていますが、今後スルガ銀行、TATERU問題は不動産市場に大きな影響を与えると、フェイスネットワークの売上も低下する恐れがあります。
決算見通しでは高成長を予想していますが、予想を下回るようだと、株価はさらに下落し、上場来安値を更新していく可能性はありそうです。
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