2018年に入り地方銀行への業務改善命令や不祥事が相次いで発生しています。地方銀行の優等生として収益を大きく拡大してきたスルガ銀行も、不動産向け融資で不正があり、決算を大幅に下方修正する事態に。
今、多くの地方銀行がさまざまな問題に直面し、転換期を迎えていると言えるでしょう。ここでは、そのような地方銀行株で利益を上げるためのポイントについてみていきたいと思います。
目次
地方銀行の約40%が本業の利益が3年連続以上で赤字?地方銀行の収益の実態とは?株式や国債など有価証券で積極的に運用する銀行も。
先日、金融庁の調査で地方銀行全106行の内、約40%に相当する40行の2018年3月期決算で、本業の利益が3期以上連続して赤字となっていることが判明しました。主な原因は人口の減少と貸出金利の低下で収益性が低下している中、収益改善のための取り組みがうまくいっていないことがあげられます。
金融庁の調査では、本業の収益が赤字になっているにも関わらず、具体的な対策を行わずに放置している銀行や、経営陣で議論を行っていない銀行もあることが明かになっています。
収益性が低下している地方銀行の中には、本業である個人や企業向けの融資で収益をあげることができないため、株式や国債などで積極的に運用する傾向が強くなっています。金融庁は多くの銀行が有価証券の運用で過度のリスクを取っていることを問題視しています。
⇒【東日本銀行、業務改善命令。その詳細とコンコルディアFGの株価への影響とは?】
地方銀行の利益拡大のためには手数料収入と経費削減が必要。口座維持手数料徴収は可能か?ATM数削減によるコスト削減への取り組みは?
地方銀行が収益性を改善していくためには、どのような方法があるのでしょうか?まずは簡単なところでは手数料収入の増加と経費の削減があげられます。
手数料収入では、金融商品の販売以外のところでも、口座維持手数料の徴収などがあります。口座維持手数料は欧米などでは一般的となっており、口座維持手数料がかからない日本は世界的に見れば特殊な存在です。口座維持手数料が無いから、色々な銀行で口座開設を行うものの、全く使っていない口座を保有している人も多いことでしょう。
なかなか現在の日本で口座維持手数料を取るのは簡単ではありませんが、それに見合うメリットをしっかりと示せば、顧客からの理解を得られる可能性もあるのではないでしょうか?使われていない口座の数が減れば、銀行もコスト削減に繋がります。
コスト削減で大きな改善が期待できるのがATM数の削減です。日本は世界的に見てもキャッシュレス化が遅れており、ATMをよく利用していますが、今後の流れとしてはキャッシュレス化が進んで、ATMの数も減らしていく必要があるでしょう。他の金融機関とのATM相互利用やコンビニとの提携など、積極的にATM費用の削減を検討していくべきです。
スルガ銀行のサラリーマン向け不動産融資は地方銀行が参考にできるビジネスモデルか?
地方銀行は地域に密着した営業が可能であるため、独自の路線で新たな収益の柱を見つけていくことも重要です。スルガ銀行は今でこそシェアハウス向け不正融資で大きな問題に直面していますが、スルガ銀行はサラリーマン不動産融資という新たな借入需要を創出し、利益を拡大してきました。
社内の拡大志向やプレッシャーが行き過ぎたために、行員も書類の改ざんに関与したり黙認したりという問題に発展しましたが、ビジネスモデルとしては面白いものであったと思います。
過剰にリスクを取り過ぎる必要はありませんが、地方銀行の営業エリア内の不動産であればリスクの査定もしやすいと思うので、不動産向けの融資を拡大していくというのも、良い戦略だと思います。
地方銀行株で利益を上げるための方法やポイントまとめ
地方銀行も銀行によって収益基盤や収益の上げ方が大きく異なってきており、地方銀行株に投資するのであればその見極めが非常に重要になってきています。配当利回りが高めだから、割安に感じるからという理由で株式を購入していくのは危険です。
地方銀行がどのように収益拡大を行っていくのかをしっかりと見極めた上で、成長が期待できるようであれば投資していくようにしましょう。
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