9064 ヤマトホールディングス(HD)の子会社で引越し業者のヤマトホームコンビニエンスの元社員が引越し料金を水増し請求していたことを内部告発しました。告発内容によると、日常的に過大請求が行われていた可能性があります。
ここではヤマトホームコンビニエンス元社員の内部告発の内容、親会社ヤマトホールディングスの業績・株価への影響をみていきたいと思います。
目次
- 1 ヤマトホームコンビニエンス元従業員・槙本氏が内部告発。引っ越し料金を水増し・過大請求の詳細とは?四国運輸局は対応せず、刑事告発も?
- 2 ヤマトホームコンビニエンス水増し・過大請求の決算・業績に与える影響は?ヤマトHDの出資比率・資本金は?
- 3 ヤマトHD2018年7月以降株価上昇の可能性は?子会社ヤマトホームコンビニエンス水増し・過大請求の影響は?日足チャートテクニカル分析。
- 4 ヤマトホームコンビニエンスの法人向け引越し過大請求の実態を発表。総額は約17億円、組織での不正は否定。【2018年7月26日追記】
- 5 ヤマトホームコンビニエンス社内調査の対象期間は短すぎる?以前から過大請求が行われていた可能性が高く、社内委員会の原因究明に期待。【2018年7月26日追記】
- 6 ヤマトホームコンビニエンス、2010年頃から組織的に水増し・過大請求。元支店長が内部告発。【2018年7月26日追記】
- 7 ヤマトホールディングの業績や株価への影響は?追加での返金可能性を考慮すると、下降トレンド転換もありえるか。
- 8 ヤマトHDの2018年7月以降株価上昇の可能性は?子会社ヤマトホームコンビニエンスが引っ越し料金を水増し・過大請求まとめ
ヤマトホームコンビニエンス元従業員・槙本氏が内部告発。引っ越し料金を水増し・過大請求の詳細とは?四国運輸局は対応せず、刑事告発も?
内部告発を行ったのは四国法人で元営業支店長をつとめていた槙本元氏。実際の荷物量より10倍程度の見積もりを行い、料金も約10倍の請求を行ったことを指摘しました。
槙本氏は営業支店長を務めていた2010年に社内で水増し請求を指摘し、顧客に対して約400万円を返金した経験があるといいます。ヤマトホームコンビニエンス退職後は四国運輸局に対して過大請求の事実を報告しましたが、特段対応してくることはなく、今後警視庁への刑事告発も検討している模様です。
ヤマトHDは過大請求があった事実を認め、今後社内調査を進めた上で顧客と対応を協議していくと発表しています。
ヤマトホームコンビニエンス水増し・過大請求の決算・業績に与える影響は?ヤマトHDの出資比率・資本金は?
ヤマトホームコンビニエンスは直近でも水増し請求を行っていた可能性が高く、日常的に過大請求を行った疑いがあります。約10倍の請求を行っていたという点は驚きですが、顧客が気付かなかった点も驚きです。
槙本氏の勇気ある内部告発によって発覚した今回の問題、現時点での影響は不明ですが、ヤマトHDに与えるインパクトはそれなりに大きそうです。ヤマトホームコンビニエンスの資本金は4億8,000万円。ヤマトHDの出資比率は不明ですが、大半の株式を所有しているのは間違いなさそうです。
ヤマトHD2018年7月以降株価上昇の可能性は?子会社ヤマトホームコンビニエンス水増し・過大請求の影響は?日足チャートテクニカル分析。
ヤマトHDの2018年7月2日の株価は前日比▲146円(▲4.5%)の3,118円で取引を終了しました。この日の日経平均株価は米中貿易摩擦を懸念して大きく下落しましたが、ヤマトHDの株価は日経平均株価を大きく上回る下落率となり、ヤマトホームコンビニエンスの水増し請求のニュースが影響している可能性があります。
ヤマトHDの株価は2018年に入り緩やかな上昇トレンドを形成していました。6月22日に3,496円の高値を付けて、現在は大きく下落調整している状況です。テクニカルには25日移動平均線(緑色)を下抜けしており、75日移動平均線(水色)を維持できるかがポイントとなります。75日移動平均線を下抜けすると下降トレンド転換となる可能性が高いです。
ヤマトホームコンビニエンスの法人向け引越し過大請求の実態を発表。総額は約17億円、組織での不正は否定。【2018年7月26日追記】
ヤマトHDは7月24日、社内調査の結果を公表し、子会社ヤマトホームコンビニエンスで法人向け引越し料金において過大請求があったことを明らかにしました。過大請求があったのは2,640社で、対象件数は約4万8,000件と、調査を行った対象期間(2016年5月~2018年6月)の受注件数約12万4,000件の40%程度となります。そして過大請求の総額は約17億円にのぼります。
ヤマトHDの山内社長は会見において、会社としては指示をしていないとコメントしましたが、正直ここまでの割合、件数、金額であることを考えると、組織ぐるみの不正があったのではないかと疑ってしまいます。経営陣からの指示はなかったとしても、現場レベルでは厳しいノルマが課され、不正を行わざるを得ない実態があったのでしょうか?
今回不正があったのは法人向けの引越しのみであり、個人向けは不正が発生する可能性は極めて低いとしています。個人向けは実際の荷物量に応じて引越し料金の精算をその場で行うためです。もし組織的な不正があったのだとすれば、不正が行いやすく金額的なインパクトが大きのは法人向けという考えがあったのかもしれません。
ヤマトホームコンビニエンス社内調査の対象期間は短すぎる?以前から過大請求が行われていた可能性が高く、社内委員会の原因究明に期待。【2018年7月26日追記】
ヤマトHDが調査を実施した対象期間は、作業データを保管している2016年5月~2018年6月の約2年間となっていますが、元社員である槙本氏の内部告発では2010年から過大請求を行っており、今回の対象期間は短すぎるのではないでしょうか?対象期間の過大請求件数や金額を見ても、たまたまこの調査期間中だけ発生していたものとは考えにくいです。
今後更に過去に遡って調査を行うのかは明らかにされていませんが、行わないのであればしっかりと解明されたとは言えないでしょう。また顧客からの納得が得られるのかも疑問が残ります。ヤマトHDは7月23日に原因究明と再発防止を目的とた社内委員会を設置しました。8月中に結果を公表する予定とのことで、そこでの発表に期待したいと思います。尚、ヤマトホームコンビニエンスはそれまで新規の受注や契約はしないとのことです。
ヤマトホームコンビニエンス、2010年頃から組織的に水増し・過大請求。元支店長が内部告発。【2018年7月26日追記】
毎日新聞の取材で、ヤマトホームコンビニエンスの元支店長が、2010年ころから引越し料金の水増し・過大請求を行っていたと証言したことが明かになりました。先日の会見でヤマトHDの山内会長は、組織的な関与を否定しましたが、内部告発によって窮地に追い込まれる可能性があります。
元支店長は、ヤマトホームコンビニエンスは水増し・過大請求の事実を知りながら、黙認、放置していたことも証言。更に先日の会見では見積もりと実際の荷物量の差額の精算を行わなかった結果、水増し・過大請求が起こってしまったという説明であったが、見積もりの段階から水増ししていたとのことです。
過大請求された企業の多くは、他社から見積もり料金を取らない契約を締結しており、本来は安い料金で請け負うべき顧客に対して、裏切りとも言える行為になります。今後ヤマトHDがどのような反応をするかに注目が集まります。
ヤマトホールディングの業績や株価への影響は?追加での返金可能性を考慮すると、下降トレンド転換もありえるか。
今回明らかになった約17億円の過大請求は、顧客に返金する方向で進めているとの事です。業績に対する影響は現時点で発表されていませんが、ヤマトHDの2019年3月期見通しにおける当期純利益は360億円となっており、今回の17億円が与えるインパクトはそれなりにありそうです。また今後追加の調査によって、更なる過大請求の実態が明かとなれば、返金する金額は膨らみます。
ヤマトHDの株価は過大請求の報道が出た後は一旦下落に転じたものの、その後回復していました。過大請求の実態が発表されると多少は下落していますが、大きな下落とまではなっていません。ただ今後の追加での発表や業績への影響を考慮すると、株価は下落していく可能性はあると考えます。万が一社員からの内部告発が出れば、一気に下落していくことでしょう。
ヤマトHDの2018年7月以降株価上昇の可能性は?子会社ヤマトホームコンビニエンスが引っ越し料金を水増し・過大請求まとめ
ヤマトホームコンビニエンスが約10倍の水増し請求を行っていることが、元社員の内部告発で発覚しました。今後調査を進めていき実態が明らかになると思いますが、元社員は刑事告発も検討しており、親会社であるヤマトHDの業績や株価に与える影響は大きそうです。
個人でも引越し業者を使うことはあり、荷物の量は素人にはなかなか判断することは難しいです。その点を悪用して過大請求をしていたのであれば、許されることではありません。
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