大阪ガスは、大口の顧客に対して不当に囲い込みを行ったとして、2018年8月2日に公正取引委員会は独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査を行ったことが明かになりました。7月31日には2019年3月期第一四半期決算発表も行った大阪ガス、通期業績にどのような影響を与えるのでしょうか?
ここでは大阪ガスへ独占禁止法違反疑いの詳細、決算発表の概要、株価の動きについてみていきたいと思います。
目次
大阪ガス、独占禁止法違反疑いの詳細とは?都市ガス小売り全面自由化による顧客流出を防ぐために不当な囲い込みを行った可能性。
2017年4月1日から、都市ガスの小売り全面自由化が開始しました。自由化により、都市ガス会社だけでなく、新規に参入する会社もガスを供給・販売することが可能となり、消費者は料金やサービスから自由にガス会社を選ぶことができるようになりました。
ガスの自由化によって、大阪ガスなどの都市ガス会社は、新規参入業者に顧客が流出する可能性があります。そんな中、大阪ガスは、工場などを保有する大口の顧客に対して、他のガス供給会社に契約を切り替えた場合には、高額な違約金が発生することを伝えたり、割引を受けていた顧客には、過去の値引き分の返金を求めたケースがあったと見られています。
また他社に乗り換えされる可能性がある顧客に対しては大幅に料金を値下げし、不当な価格設定で競争を妨げた疑いが持たれています。
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大阪ガス2019年3月期第一四半期決算発表。大阪北部地震の復旧工事の影響で減益。
大阪ガスが2018年7月31日に発表した2019年3月期第一四半期決算は、経常利益が前年同期比▲9.2%の233億円、四半期純利益が前年同期比▲10.2%の156億円となりました。大阪北部地震による復旧工事で、特別損失15億円を計上したことが響き、減益となっています。
通期の当期純利益見通しは465億円で変わらず、進捗率は33.6%となっています。
2018年6月末時点でのガスの供給件数は、前年同期比▲4.6%の約584万件、電力の供給件数は前年同期比+87.3%増の約70万件となっています。ガス件数は引き続き下落基調であるものの、電力については大きく増やしています。
大阪ガス株価上昇の可能性は?決算発表後上昇も公正取引委員会立ち入り調査で下落へ。
決算発表翌日である8月1日の大阪ガスの株価は、株価は前日比+65.5円の2,210.5円と上昇して引けています。8月2日は前日比▲35円(▲1.6%)の2.175.5円で取引を終了し、公正取引委員会の立ち入り調査の影響が出ています。以下は大阪ガスの日足チャートです。
大阪ガスの2018年の株価は、5月15日に年初来高値2,431.5円を付けた後、下落調整に入っています。現在の株価は6月25日に付けた安値2,202.0円を切り下げており、どこで下げ止まりを見せるか注目です。
テクニカルには、10日移動平均線(ピンク色)と25日移動平均線(緑色)が下向きとなっており、それぞれが75日移動平均線(水色)とデッドクロスを完成して、株価は下落しやすい状況です。このまま状況が継続すれば、下値の目途となる価格帯が無く、3月9日に付けた年初来安値1,993.5円を目指す可能性があります。
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大阪ガス2018年8月以降株価上昇の可能性まとめ
大阪ガス独占禁止法違反疑い・公正取引委員会の立ち入り検査を受けて、株価はネガティブに反応しています。チャート的には下落に向かいやすい形となっており、年初来安値更新に向けて下落していくか注目が集まります。
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