スルガ銀行のシェアハウス不正融資問題が発覚以降、株価は大きく下落しています。
ここではスルガ銀行の不正の詳細と株価や業績に与える影響をみていきましょう。
目次
スルガ銀行のシェアハウス不正融資問題の詳細は?銀行の関与が焦点に。
今回のスルガ銀行の不正融資の詳細をみていきましょう。
① 不動産業者が投資家の個人資産を改ざんしていた
不動産融資の審査の際には個人の給与所得や預金などの資産情報を開示しますが、これらの情報が不動産業者によって改ざんされていました。給与所得と残高を水増しすることで、通常ではありえない額の融資が可能となりました。ここでのスルガ銀行の問題点は、預金残高の確認を通帳原本では行わずに、コピーで行っており、改ざんに気付かなかったようです。
② 不動産業者が偽の売買契約書を作成してスルガ銀行に提出し、オーバーローンを受けていた
スルガ銀行は10%の頭金を要求していたため、不動産業者は偽の売買契約書をスルガ銀行に提出することによって、物件価格の90%融資と見せかけて実はオーバーローンという融資が行われていました。例えば物件価格が1億円であれば、売買契約書上の物件価格は1億2千万円とし、その90%である1億8百万円の融資を行うことで物件価格と諸経費をカバーしていました。
③ 融資がスルガ銀行の特定の支店に集中していた
スルガ銀行の支店は122店舗(インターネット支店を除く、2017年4月1日時点)ありますが、シェアハウスへの融資は11支店で行われており、その大半が横浜東口支店で行われていることが発覚しました。特定の支店の集中していることから、スルガ銀行も関与しているのではないかと疑いがかけられています。
スルガ銀行は社内調査の結果、不正融資はなかったと発表していますが、個人資産と売買契約書の改ざんについては把握していたのではないかといわれています。
スルガ銀行のシェアハウス不正融資問題によるスルガ株価への影響は?チャートは下降トレンドを形成中。
シェアハウス不正融資問題によるスルガ銀行の株価への影響をみていきましょう。
以下はスルガ銀行の日足チャートです。
今回のシェアハウス問題が出てきたのは2017年秋ごろで、スルガ銀行の株価は11月6日2,593円の高値をつけています。
そこから年明けにかけて問題が大きく報道されると株価は急落し、4月19日には1,200円の安値を付けており、11月6日からの下落率は約54%となります。
テクニカルでみても直近は大きな下落の反動で反発をしていますが、全体的には10日、25日、75日の移動平均線は全て下向きで、短期線が長期線を全てデッドクロスを完成させており、下降トレンドを形成しています。
業績面への影響や、金融庁からの処分を考えるとまだまだ下落する可能性はあるかもしれません。
⇒【移動平均線の詳細を解説】
スルガ銀行のシェアハウス不正融資問題による業績や経営への影響は?純利益は210億円へ下方修正、決算は2018年5月15日に発表予定。
スルガ銀行は2018年5月8日に2018年3月期業績の下方修正を発表しました。
シェアハウス融資の焦げ付きに備えた貸倒引当金を約400億円計上し、従来予想の連結純利益は410億円から210億円に減額しました。
正式な決算は2018年5月15日に発表予定です。
融資金額は約1,000億円と言われているなか、400億円の貸倒引当金が妥当なのかは疑問が残ります。
スルガ銀行が把握している投資家の給与所得や預金などは改ざんされており、どうやって算出された数字なのでしょうか。
以下はスルガ銀行の主要な経営指標の推移となります。
2017年3月期(平成28年度)の数字をみると、赤で囲った連結純資産は約3,404億円と今回のシェアハウス融資額とされる1,000億円を大きく上回っており、万が一全てが焦げ付いたとしても倒産に追い込まれる事態にはならなそうです。
⇒【貸借対照表の見方を解説】
まとめ
スルガ銀行への短期的な影響としては2017年度決算の下方修正と株価下落となっていますが、今後金融庁がどういう処分を下すかで業績や株価に大きく影響を与える可能性があります。
現在は被害者の弁護団がスルガ銀行に対して融資契約の白紙撤回を求めていますが、スルガ銀行は応じない姿勢です。
スルガ銀行は第3社委員会を設置して客観的に不正融資の実態を調べることも発表したので、今後の動きには注目です。
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