インサイダー取引の具体的な事例を紹介。摘発件数や課徴金の事例。不正行為の手口を知って、巻き込まれないようにしよう。

インサイダー取引は、株式市場全体の信頼を損なう重大な不正行為で、個人投資家もインサイダー取引に該当しないよう、最新の注意を払う必要があります。

ここでは過去のインサイダー取引の事例をみながら、知識を深めていきたいと思います。

⇒【インサイダー取引を解説

インサイダー取引の年間摘発件数とは? 

どれくらいの件数のインサイダー取引が摘発されているか、イメージつきますでしょうか?

証券取引等監視委員会が2017年8月に発表した、金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~によれば、2007年の課徴金制度導入以降、2017年3月末までにインサイダー取引規制違反で課徴金勧告を行った累計件数は268件(違反行為者ベース)で、累計課徴金額は5億5,799万円、平均208万円となっています。

2016年度の勧告件数は43件であり、2015年度の22件に比べて大幅に増加し、年度別で過去最高の件数となりました。

2016年度の課徴金額合計は8,979万円で、2016年度の7,550万円を上回り、こちらも年度別で過去最高の金額となりました。平均課徴金額は209万円と、累計平均並みとなっています。

それではこの後、具体的な事例を見ていきましょう。

インサイダー取引事例① 公開買付情報を事前に入手し、株式売買で利益をあげ、個人に課徴金が課された事例。 

株式の公開買付を行うX社の社員(違反行為者)が、公開買付の事実を知りながら、本件の公表前に公開買付対象社A社の株式を信用取引により買付けた事案です。

違反行為者は、遅くとも2015年6月16日までに、X社にて本件事実に関する実務を担当していた社員と会話をする中で、A社の公開買付の事実を知りました。

その後、違反行為者は2015年7月6日~30日にA社株式3,300株を60万8300円で買付け、平均単価は184円(小数点以下四捨五入)でした。

2015年7月30日のA社の株価終値は180円で、同日午後4時にX社はA社の公開買付を実施しました。

翌2015年7月31日のA社の株価は上昇し、終値は前日比+23円の203円となりました。

違反行為者は株価が上昇したところで全株売却を行い、利益を得ましたが、その後インサイダー取引として摘発され、13万円の課徴金が課されました。

⇒【株式投資の3つの儲け方を解説

⇒【株価の詳細を解説

インサイダー取引事例② 複数の関係者が関わり、公開買付情報を入手して、会社として課徴金が課された事例。

A社の株式の公開買付を行うX社との間で、公開買付に関する契約の締結交渉を行っていたB社役員が、本件公開買付等の事実を友人であるC社(違反行為者)役員伝達し、C社役員はC社の業務として本件事実の公表前にA社の株式を買い付けたという事案です。

B社役員は2015年6月20日、ゴルフ場においてX社役員と公開買付に関する契約の締結交渉に関し話をする中で、本件事実を知りました。

その後C社役員は2015年7月6日、普段から交友のあるB社役員がC社を訪れた際、B社社員から本件事実の伝達を受けました。

C社役員はC社社員に対して、A社株式の購入を指示し、2015年8月3日~24日にA社株式25,600株を1,009万7,200円で買付け、平均単価は394円(小数点以下四捨五入)でした

2015年9月18日のA社の株価終値は386円で、同日午後3時にX社はA社の公開買付を実施しました。

翌週2015年9月24日のA社の株価は上昇し、終値は前日比+80円の466円、翌2015年9月25日のA社終値は前日比+80円の546円となりました。

違反行為者は株価が上昇したところで全株売却を行い、利益を得ましたが、その後インサイダー取引として摘発され、577万円の課徴金が課されました。

⇒【株価変動の要因を解説

インサイダー取引の具体的な事例を紹介まとめ 

いかがでしたでしょうか?

事例でも見たように、少額でも課徴金を支払っているケースもあり、少ないから大丈夫だろうという考え方は非常に危険です。

インサイダー取引をやらなくても、利益をあげる方法はありますので、危ない取引は避け、取引するようにしましょう。

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